圧縮空気熱機関の 熱力学

 

熱サイクルは ディーゼル機関とほぼ同じ 理想定圧サイクルです。
基本ディーゼルサイクルですが加熱過程実質ではブレイトンサイクルのほうがより近いです。

ガソリンエンジンと根本的に違う行程は、
オットーサイクル等では加熱すると圧力が上がるが、本サイクルでは、加熱すると圧力ではなく堆積が増える(膨張)する。
よって、高温燃焼しても不本意な高圧にならないため、窒素化合物等の生成を減少させ、燃焼条件を一定に保つことができ燃焼効率が向上します。
(ディーゼルサイクルも定圧サイクルと呼ばれながらも圧力変動があります)
圧力は高くならなくとも、燃焼温度は高温にすることが可能なので、理論効率は変わりません。
しかし、内燃サイクルではできなかった、排熱回収が可能となるので、よりカルノーサイクルに近くできます。

また、外燃サイクルでは排気損失が無いためカルノー効率が実現できると一般的に表現されていますが
動作流体の熱伝達が大きな問題で現実的には効率が低くなっています。
しかし、本サイクルでは外燃サイクルとしても熱伝達面積を低圧力損失にて無限大にまで拡大可能で、前記問題も解決可能となります

       参考: 理想的なエンジンの熱力学 (カルノー効率)
η(効率)=1 - Tl(低温側の絶対温度温度) / Th(高温側の絶対温度)  となり
効率は絶対温度に比例する。・・・・あくまで理論効率で実際上は実現不可能である。
(ここで注意が必要なことは、効率は温度のみに依存していることである)


ここで、太陽電池と太陽熱から発電する場合を考えると、
太陽電池での理論最高効率は約60%程度とされる。一般的なシリコンでは25%とされる
太陽熱では集光して高温にしないと発電出来るだけの温度を得られないが、集光すると理論的には太陽表面と同じ温度になる。
ここで先ほどのカルノー効率を計算すると、η=1-(気温300度/太陽表面温度6000度)=0.95  95%が理論的最高値となる。
ただ、6000度に集光し、6000度で作動する熱機関は非現実的ではあるが、1500度程度は現実的でη=1-(300/1500)=0.8となり
理論効率では80%となり、さらに実効率として1/2(実際の火力発電所の効率程度)として40%の効率となる。(頑張れば60%位は可能である)
この40%と言う数値は現在の技術で十分に行うことのできる数値であり、現実の太陽電池と比較して如何に高効率であるかが伺える。
現実に世界では太陽熱発電所は実際に稼動している。(日本にも昔実験発電所があった)



      参考: 一般低な内燃エンジンの熱力学 (ガソリン、ディーゼル、焼き玉・・・等)

これは、燃料の燃焼によって生じる熱により、空気(燃焼ガス)を膨張させて外部に仕事をさせるもので、
熱と仕事の変換効率を上げる為に、燃焼前に空気を圧縮して”断熱圧縮”により空気自身の温度を上げ、
燃焼温度を高くして熱効率をあげるように工夫されている。
(ここで注意が必要なのが、圧縮比を上げて燃焼圧力を高くしても、燃焼温度が高くならなければ効率は上がらないことである)

これらは外燃機関でも同じで、ガスタービン、蒸気タービン、スーターリングエンジンなど例外はない。
最新の発電所で稼動しているコンバインドもガスタービンで最高燃焼温度を上げているから50%を超える変換効率を得られているのである。
原子力発電では蒸気タービンでしか変換できないから、CO2は出さないが効率の観点からはLNGに軍配が上がる。
また、CO2排出量の多い石炭もガス化してコンバインド化して効率アップを目指しているようである。
※蒸気は臨界温度および圧力より高いと気体で無くなり、高温での作動が困難になるため、高温でも気体で作動する
ガスタービンと組み合わせて”コンバインド”として最新の火力発電所が運転されている。。

      参考: 圧縮空気エンジンの熱力学  (殆ど参考になる公開資料が見あたらない)

圧縮空気の持つエネルギーとは、大気に放出される時にピストンを押し下げて仕事をするエネルギーである。
この時、必ず大気から仕事と等量の熱を奪い取ることになる。
(ゼンマイのエネルギーと違い必ず熱の出入りが必要となり、熱力学の法則に例外なく従う)
従って、空気エンジンが作動するときは、大気から熱を受けて作動して居るのであり、
大気から熱を奪えない状態では仕事が出来ないことになる。

言い換えると、外燃機関の冷熱版と言え、”冷えた空気”を大気で加熱して作動しているとも言える。
この加熱が足りないと、カセットコンロで長時間鍋をしているとカセットボンベが冷え切ってガスの出が悪くなるのと同じ理屈である。

この”冷えた空気”とは圧縮空気を作るときに”冷やして”いるのである。圧縮空気のボンベを触っても冷たくは無いのであるが、
空気を圧縮するときに圧縮熱として大気に放出して大気より高い温度で冷却されているのである。
(熱力相対論):常温で高圧のエアータンクも外気が空気の液化温度ほどになれば真空タンクと成り果てるのである。 

理想気体の状態方程式(高校の物理で習う?) PV=RT   P(圧力) V(体積) R(気体定数) T(絶対温度)
圧縮するときにこの式では空気の圧力(P)は体積(V)を外力(W)で圧縮して圧力(P)を高くするのであるが、
絶対温度(T)はこの時加えられた外力(W)によって上昇し、上昇した温度は大気より高温となるために熱(Q)が放出され、
元の大気の状態になるときに、仕事(W)をして放出した熱(Q)を大気より受け取ることになる。(エンジン及びタンクが冷える)

従って、圧縮空気のエネルギーは冷熱エネルギーによる熱機関であると言い換えることが出来るのである。
(このあたりを履き違えると、圧縮空気によるエネルギー蓄積は”夢のエネルギー”となってしまうようである)

また、蓄エネとして圧縮エネルギーを考えた場合には気体を圧縮するエネルギーは高温と低温の温度差を作り出すことに他ならない。
圧縮された空気は圧力(機械エネルギー)と考えると非常に勘違いしやすい事になるが、これを低温エネルギーと考えると
熱機関の理論で容易に表すことができるようになる。この低温エネルギーと圧縮する時の熱(普通の圧縮機では捨てている)の総和が
蓄積可能なエネルギーで熱と圧力(冷熱)に分解することで効率よく蓄えることが出来、
その蓄エネ効率も理論上100%(カルノーサイクル実現時)となる。(圧縮空気だけだとこの半分にしかならない)
上手く実現できるとすればバッテリーの蓄エネより高効率長寿命低コストとなることは間違いない。
※圧縮及び放圧時に温度差を生じないように無限の時間を掛けてゆっくりと圧縮放圧が出来ればηを100%にすることも可能である。

圧縮空気を作るときは、エアコンで暖房するのと同じで暖房熱(熱エネルギー)を大気に捨て
さらに空気圧エンジンを作動させる時はエアコンの冷房(冷熱エネルギー)を大気に捨てているのである。
よって、単に圧縮空気で空気エンジンを作動させることはエネルギー的に効率の極めて低い方法であると言わざるを得ない。
(エアコンの作動温度差が大きほどCOPが低くなるのと同じ理屈で、高圧のシステムほど効率が低くなる

※ある空気エンジンで、断熱圧縮して高温になった空気に圧縮空気を入れて急膨張させて効率を上げるとのことであるが
高温の空気に冷たい空気を混ぜれば、空気の温度は下がって膨張率は下がり結局は苦労の甲斐なしとなる。

通常内燃機関では高圧縮ほど熱効率が良いのは単純に燃焼温度が高くなるためであって、加熱工程の無い空気エンジンには適用できない。


で、これらの欠点を補うように複合して考え出したのが、"圧縮空気熱機関” となった。
ただ、効率アップにはやはり”燃焼温度”の壁は既存のエンジン同様である。

低温度差でも作動する試作を行おうと試行錯誤していると、蓄圧と内燃サイクルを除いた基本サイクルの単純化を考察すると
マンソンサイクルエンジン(Manson cycle engine) 又は ラミナフローエンジン(Lamina Flow Engine)に近くなる。

マンソンサイクルエンジンは、デスプレーサーピストンにて2サイクルエンジンと同様に吸気と排気の流路切換を行う外燃機関である。
このエンジンは条件が揃えば自発起動が出来るようである。



ラミナフローエンジンは、熱音響スターリングと呼ばれる熱サイクルと同様のサイクルで単シリンダーで簡易な構造で作動する。
ご興味のある方は検索してみていただきたい。
上記のサイクルは正逆どちらの方向にも回転可能で、フリーピストン(往復運動のみ)でも作動する。
ピストンを省略すれば音響スターリングとなり音(振動)としてエネルギーを取り出すことが出来る。

従来の熱機関では「必ず圧縮容積の空気が熱交換部を往復」するが、
本原理では「往復しない」(一方通行)ことが決定的な違い
これにより、熱交換部の面積を無限大、圧力損失を原理的にゼロにすることが可能となる。
※熱交換部を大きくすれば低温度差で可能になる。(実熱効率が良くなる事を示す)

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