圧縮空気熱エンジン      圧縮空気熱機関の基本サイクル     2011/1/22


最大の特徴は回生時に蓄圧された大気を外燃機関と内燃機関の複合運転が可能なことで
外燃機関として各種燃料、太陽熱、排気熱の利用が可能で、加熱空気に加えてさらに燃料の供給より高温燃焼とすることで
一般的外燃機関では困難であった高温燃焼による高熱効率、さらに排熱回収による高効率を実現する物である。
 ※理論熱効率は燃焼温度に依存する。

従来の内燃レシプロエンジンは混合気を圧縮して高温高圧にして爆発的に燃焼させる物対し
このサイクルでは、高温高圧のジェットでピストンを押し下げると言う感じとなる。

基本構造は2ストローク/サイクルであり、簡単な機構で高温に曝されるバルブが排除できるため
高温ガスでの容積型膨張作動が可能となることである。
また制御バルブが低温ガスの制御で可能となりコンピュータによるデジタル制御を低コストで実現可能となる。


上図は本熱サイクルを実現するための一つの機構であり、他に様々な実現可能な機構バリエーションがある。
蓄熱器は蓄圧効率を上げるめのスターリングエンジンの再生器に相当する働きをする物である。

外燃部は自動車などにあっては、排気ガスを熱源として排熱回収を図り、
廃棄物発電などに於いては燃焼炉内にて熱交換して行う。

外燃部を太陽光の集熱による場合は、高い集光率で高温加熱が可能となり高い熱効率を実現すると共に
太陽光の変動を蓄圧エネルギーにてバッファリングして安定した出力の運転が可能となる。
(スマートグリッドとしての機能を合わせ持つも特徴となる)


※廃物発電等にて発電効率を上げるためにLNG等にて再加熱して加熱蒸気を得る方式よりも
原理的に熱効率を高くすることが可能である。


基本作動
1 上死点より制御バルブを開き作動流体が加熱膨張してピストン押し下げる。
   ピストン下面では外気の圧縮を始める。
2 制御バルブを閉じて作動ガスは断熱膨張となりピストンをさらに押し下げる。
   ピストン下面では外気の高圧縮空気を蓄圧タンクに蓄圧を始める。
   (この時断熱圧縮による熱は蓄熱部に移動して放圧時に熱量の保存を計り、圧縮仕事の低減を計る)
3 断熱膨張を終えた排ガスは排気ポートより排出される
   ピストン下面では外気の吸入を始める。
4 残留排ガスを低圧縮状態にて再圧縮する。
   (4ストロークとして完全排出可能であるが、再圧縮による熱効率の低下は無いため機構の単純化のため再圧縮としている)
   ピストン下面では外気の吸入する。



概念PV線図(実際は膨張部と圧縮部のPVが異なるが、従来のPV線図として表記した)
基本的には、蓄圧動作を除いては定圧サイクルであるブレイトンサイクルに近い物となる。
(ガスタービンとの違いは、燃焼ガスが直ちに膨張開始して膨張室に到達するまでに
ガス温度が下がり、高温燃焼による高熱効率であっても耐熱に配慮が少なくなることである)

また、燃料の噴射タイミングによってはディーゼルサイクル同等でもある。

上図PV線図において、
圧縮: ピストン圧縮側にての大気の圧縮を示し、回生時では動力を圧力として蓄積する。
蓄圧: 通常の熱サイクルでは無い行程で、圧縮空気を蓄圧タンクに蓄圧する。
        (PV線図の最高圧力は蓄圧タンクの圧力となり、Nox対策として低圧力作動も可能)
加熱膨張: 制御バルブを開いて圧縮空気を加熱しながらシリンダーに送り込む。
断熱膨張: 加熱部及びシリンダー内の加熱圧縮ガスの膨張。
        (このバルブ制御時間で加熱膨張と断熱膨張の比率が可変し、
         低出力時ほど断熱膨張率が大きくなり熱効率の向上が計られる)
吸排気:  断熱膨張を終えたガスの大気に排気と新気の吸入による熱交換排熱となる。
        (一般的な外燃機関での冷却器が不要で熱交換率が高く低コストとなる)

尚、空気エンジンとして作動時は、加熱膨張が単純に膨張となり、高温部位の冷却効果が得られる。
回生時は圧縮が断熱膨張より上回って出力は負となって圧縮蓄圧する。

熱機関の効率(ガス動力サイクル) エリクソンサイクルの解説もある解りやすい 「FNの高校物理」 内部サイトです。
上記リンク内容は高校の物理を超えていると思いますが、熱機関の比較的解りやすいサイトです。

上図のPV曲線は”排気”しているので理想ディーゼルサイクルと同様になっていますが、排気熱を加熱に再生させると
理想エリクソンサイクルと同等となり、理想的にはカルノーサイクルと同等(排気損失がなくなるので当然ですが)
ただ、現実はスターリングエンジンが広く研究されていても実現出来ない事と同様となりますが
今までの内燃サイクルでは理論的にカルノー効率を得ることは不可能ですが、これが理屈的には可能となります。

また、外燃機関として排気を吸気すればスターリングサイクルと同様なサイクルとなってしまいます。
(外気を取り込めないので蓄圧にてエネルギーを蓄えることが出来なくなるので本サイクルの利点が失われます)


出力制御方法
 制御バルブの開閉時間(燃料噴射量はこれに比例する物とする)のみで、
出力の増減から回生による圧縮運転にシームレスに制御が可能である。
外熱はバルブ開の時のみ熱供給されるので基本的に熱量制御不要である。
(勿論、従来のような機械カム式としても動作可能である)
従来の制御を電気電圧制御に例えると、トランスからスイッチングによる電圧変換に取って代わる様な形になる。
完全デジタル制御により素早く、損失の少ない細かい理想的な制御が低コストで容易に得られることになる。


理論熱効率
基本的に再熱(排熱回収)ブレイトンサイクルと同等であるが、容易に燃焼温度を高く取れ、圧縮漏れが少ないため
一般的なガスタービンを超えることが容易となる。ディーゼルに比較して再熱(外熱)による熱効率上昇が期待できる。
 ※蓄圧行程を除き、膨張室を膨張タービン、圧縮室を圧縮タービンと置き換えればそのままブレイトンサイクルとなる。

また、高出力時は断熱膨張率が小さくなり熱効率が低下するが、
増大した排熱を回収することにより高効率を維持することが可能となる。

燃料として制約なく各種燃料を用いることができ、ガソリン、ディーゼルのような燃料に求められる特質も必要ない。
外部熱源として低質エネルギーを組み合わせて内燃熱効率を上げることで燃料コストの大幅圧縮が可能となる。

また、基本的に急激な圧力変動がないので機関の運転にて振動騒音が少なくなる特性も持ち合わせる。

2013/6/5 NEDOの不採択理由として「科学的吟味が必要」とのことである。
これは提唱熱サイクルが絵に描いた餅で実現は出来ないと判断された(熱力に理解有る審査員が居たとして)であろうと思われる。
しかしこの熱サイクルは全く世の中に実在しないものではなく、蓄エネ分野において
岩盤に圧縮空気を溜めて流出空気を加熱してタービンを回転させ発電すると言う(特許調査時に見つけたNEDOの昔の計画)と熱サイクルは同じである。
ただ高価なガスタービンでは規模が大きくないと実現できないが、容積形原動機の形をとれば低コスト&小型化が可能であり
基本的に”容積形”ブレイトンサイクルなのである。
    ただ、容積形の基本的機械損失を上回るエネルギーを取り出さないと作動しないので低温で作動する試作は難しく
かといって、高温で作動させる試作はコストが掛かる。

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