位置固定法


身体の一部(腫瘍)をどうやって三次元空間に位置決め出来るでしょうか?
まず、舌(ほぼ筋肉) 乳房(ほぼ脂肪)・・・柔らかく変形はしますが必ず元に戻ります
この変形を弾性変形と言います
豚まんを踏んづけた場合の様に、元に戻らない場合は塑性変形といいます。

また、組織内に空気層を含まないため基本的に非圧縮性で、押し込むとどこがが膨らみます。
血液等流体の移動により完全に非圧縮性とは言い切れませんが、ほぼ流動しない組織で非圧縮性と言えます。

これは、柔らかいシリコンゴムで容易にモデル化が可能で、腫瘍として色違い、
硬さ違いのものを透明なシリコンゴムにて形成すれば、容易に力学的モデルが完成します。
また、腫瘍モデルをゴム毬状にして後に外部から注射針で液体を出し入れすれば、
腫瘍の変形シュミレーションも容易に視覚化できます。
※カップ入りのゼリーの中の具が、カップ内にあるときは幾ら振っても具が動かないが、カップから出すとプルプルと動いてしまう現象。


そして、モデル化した形状が弾性変形のレベルで変形(舌を引き出す等の力を加える)させた形状を型取り(石膏など)
その型にアクリル等の樹脂で吸引カップ形状を作成します。
※舌そのものをカメラで多方向から写真を撮り、複数画像から3Dソフトで3Dデータ化すれば3Dプリントが可能で、安い早い旨いとなる
(フリーソフトが有るので気軽に試せます)

吸引カップ底(先端)に内部の空気を抜くための穴と真空引きするパイプを装着します。
真空引きは浣腸器でも多分大丈夫でしょう。

モデルのシリコンゴム外周に潤滑剤(石鹸液)を塗り、アクリル型に押し込み浣腸器をひきだしすと
シリコンゴムはアクリル型に目一杯に引き込まれ、浣腸器を押し出せば、アクリル型からシリコンゴムは吐出されることでしょう。
この一連の作業で、シリコンゴムは弾性変形なので何度繰り返しても、
アクリル型に吸い込まれた状態では腫瘍の位置は全く同じ位置になることが確認できることでしょう。
また、一旦引き込んだら空気が入るまで保持されて居るはずです。(真空ポンプ等も不要)

舌のような尖った形状(テーパー率の高い)では、吸い込みだけで安定な位置決めが可能です。
しかし乳房のような柔らかい場合は、いくつかのマーキングを施して、アクリル型と皮膚の位置決めを行う必要があると想像されます。
皮膚のマーキングとアクリル型のマーキングを合わせてしまえば、乳房の柔らかい場合でも内部構造は流動しないので外部からの応力(型に吸い込まれた状態)にて一番安定する位置となり、当然に繰り返しても内部構造と容積が変わら無い限り、腫瘍位置に再現性が有ります。
※乳房の型は3DデータをCAD等で変形して腫瘍の位置が治療しやすい位置となるようにすると、乳房を思いの形状吸引成型可能です。



以上の説明にて、アクリル型(成型カップ)を被せて吸引すると腫瘍の位置は吸引カップのどの位置に成るかがはっきり解ります。
なので、成形カップした状態でCT・MRIの撮像すれば、治療時に成形カップのどの位置に腫瘍が有るかが確実にわかるようになります。
※MRI画像では、アクリル等の樹脂は均一材質なので、生体組織とはっきり識別可能です。

このMRI画像は顔正面からの断面で(私のマウスピースを嵌めて取った)舌癌の造影MRIで、左側の黒いそら豆状の形状がアクリルのスペーサー断面それに掛かる白いところが腫瘍であり、画像から鮮明に判断できる。
よって、アクリル等で作ったカップと腫瘍の位置は明快に測定できる。
また、スペーサー形状により腫瘍が変形してスペーサーに纏わりつくように形になり、もう少し腫瘍の厚みが薄ければ、
スペーサーにグレイン設置にて適応できたかもしれない。この辺り実際に変形具合を確認しないと判らないことであろう。

成形カップに対しての位置なので、患者の姿勢、呼吸等の体動に対しても、成形カップを固定してしまえば、体が多少動こうとも腫瘍の位置は
変化しないので施術は正確に腫瘍を捉えます。

成型カップに三次元座標の元となる3点以上のマーキングすれば、マーキング位置の動的座標変換から動きが有ったとしても追尾補正して照射が可能です。(サイバーナイフのように大きなリニアックを動かす場合は慣性法則による制限はあります)


以上、 作成手段等は歯学部等で行う旧来手法を元に説明しましたが、基本的には3DCADで三次元モデリングして3Dプリンターで出力すれば職人技は一切不要です。